《フィンセント・ファン・ゴッホの肖像》とは|ゴッホ自身が最も大切にした自画像以外の肖像を徹底解説

《フィンセント・ファン・ゴッホの肖像》(1886年)は、オーストラリア人画家ジョン・ピーター・ラッセルによる油彩画で、アムステルダムのゴッホ美術館が所蔵する作品です。パリの画塾で出会った友人ゴッホを描いたこの肖像画は、ゴッホ自身が生涯大切にし続けた一枚であり、美術史家たちからは、実際のゴッホの容貌に最も近いとされる貴重な記録でもあります。

目次

基本情報

項目内容
作者ジョン・ピーター・ラッセル(1858〜1931)
制作年1886年11月
技法・素材油彩・カンヴァス
サイズ60.1×45.6cm
所蔵ゴッホ美術館(アムステルダム)
モデルフィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)

一言でいうと
《フィンセント・ファン・ゴッホの肖像》は、パリの画塾で結ばれた友情の証としてゴッホ本人に贈られ、彼自身が死の直前まで弟に「大切にしてほしい」と頼み続けた、実際の容貌に最も近いとされる貴重な肖像画である。

制作背景

ラッセルとゴッホは、パリのフェルナン・コルモンの画塾でともに学び、友情を育みました。フランス人ではない「よそ者」同士という共通点や、農民画家ジャン=フランソワ・ミレーへの共感、都市生活からの距離感といった価値観を分かち合っていたと伝えられています。多くのフランス人学生がゴッホの激しく風変わりな性格を敬遠する中、ラッセルは彼を気にかけ、親交を深めました。1886年、ラッセルはこの肖像画を仕上げると、友情の証としてゴッホに贈ります。ゴッホは、友人たちとの間でしばしば行っていたように、自作の絵と交換する形でこれを受け取りました。

見どころ

技法:写実的でアカデミックな画風で描かれていますが、顔と手の部分には、当時ラッセルとゴッホがともに試み始めていた印象派的な筆致が見て取れます。この肖像画は、ゴッホの死後、同時代の画家たちが手がけた3点の肖像画——トゥールーズ=ロートレックによる1887年作、ゴーギャンによる1888年作《ひまわりを描くゴッホ》——の中でも、最も早い時期に制作されたものです。

評価:美術史家たちは、これを実際のゴッホの容貌に最も近い肖像だと評価しています。ゴッホの写真はごく限られてしか残っておらず、生前の彼の姿を知る手がかりは、自画像とこうした友人による肖像画に頼るほかありません。

ゴッホ自身の深い愛着

ゴッホはこの肖像画を弟テオに送り、大切に保管するよう頼みました。死の10か月前、1889年の手紙でも、彼は「ラッセルが描いた私の肖像画を、どうか大切にしてほしい。私にとって大きな意味を持つものだから」と書き残しています。アルルで「南の画家たちのアトリエ」という理想を掲げた際、ゴッホは当初、ラッセルを同居の候補として考えていましたが、最終的にはゴーギャンを選びました。二人の友情は、その後も手紙のやり取りを通じて、ゴッホが死去する1890年まで続いています。

よくある誤解

誤解①「この絵はゴッホの外見を単に写し取っただけの記録である」→ 実際は友情の証として特別な意味を持っていた

写実的な肖像画という性質上、単なる外見の記録だと思われがちですが、実際にはゴッホ自身がこの絵に「大きな意味がある」と繰り返し書き残しており、友情そのものを象徴する特別な作品として大切にされていました。

誤解②「ラッセルとゴッホの関係は短期間で終わった」→ 実際は生涯にわたって手紙で続いた

パリでの短い画塾生活だけの縁だと思われがちですが、実際には二人の友情は、ゴッホがアルルへ移った後も手紙のやり取りを通じて、彼が亡くなる1890年まで続いていました。

FAQ

Q. 《フィンセント・ファン・ゴッホの肖像》とはどんな作品ですか?
A. ラッセルが1886年に描いた油彩画で、パリの画塾で出会った友人ゴッホを描いています。ゴッホ美術館が所蔵しています。

Q. なぜこの肖像画は特別なのですか?
A. ゴッホ自身が生涯大切にし続け、死の直前の手紙でも弟に保管を頼んでいたこと、そして美術史家から実際の容貌に最も近い肖像とされていることによります。

Q. 《フィンセント・ファン・ゴッホの肖像》はどこで見られますか?
A. オランダ・アムステルダムのゴッホ美術館が所蔵しています。

まとめ

《フィンセント・ファン・ゴッホの肖像》は、パリの画塾で結ばれた友情の証としてゴッホ本人に贈られ、彼自身が死の直前まで弟に「大切にしてほしい」と頼み続けた、実際の容貌に最も近いとされる貴重な肖像画です。自画像を通じてしか知り得ないゴッホの姿を、友人の目を通して伝えるこの一枚は、130年以上を経た今もなお、二人の静かな友情を物語っています。

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